ビールは冷たいのが最高だなんてさ
キスはしてない。キスだけじゃない、何もしてない、してないしてない……ってオレが頭を抱えてた翌日も、大和さんは涼しい顔して味噌汁飲んでた。オレは、この人のそういうところ、ずるいなって思う。
人の子守歌で眠った次の日もケロッとしてる。でっかい大人のクセに、ミツ、ミツ、寝たくないヤダ、一緒にいてってぐずった翌朝だって、二日酔いのおっさんに戻ってる。そういうところ、ずるいと思う。
——なかったことになんて、ならないんだぞ。
そう思えば思うほど、自分に返ってくるっていうのにな。
最近立て続けにやらかしてるから、部屋飲みは暫くしないでおこうと思ったのに、この、なんでもない顔したずるい男が「なんで? 部屋行こうぜ?」って言い出した時、ちょっとだけ、全部覚えてるんじゃないかなって思った。
別に何かを期待してたわけじゃないけど、でも、次は何をするんだろうって、ぼうっと大和さんの部屋のベッドを見ていて、ぼうっとチューハイの缶を開けた。三本目くらいだったと思う。
「ミツ、タマの三者面談の話、社長から聞いた?」
「あれ、そんな時期だっけ……」
「イチは、まぁ……親御さんが来るしな」
「ああ、そう……」
そうなんだけど、って子供達の話をしながら、のんびり飲んで終わった。
——お、終わった!
触ることもなく、ましてやエロいことするでもなく! 二人きりだったのに!
そんな気持ちで大和さんの部屋のドアを振り返る。いや、別に期待してたわけじゃないけどさ!
(どうしよう、オレばっかりエロいこと考えてたってことかよ……)
まさかそんな。だって前回、オレたち、キスまでしたのに!(してないって言い張ったけど)あんなにエロいキスしたのに!(してないって言い張ったけどさ!)
押し倒されて、酔っ払ってるせいもあるけど意識吹っ飛びそうなキスされて、いっぱい舐められて……ふわって見上げたら、嬉しそうな大和さんが顔を赤くしてて、もしかしてって……もしかしてオレって、すごく可愛がられてるんじゃないかなって思ったりしてたのに、今日は何にもない。
環の三者面談の話はそりゃあ大事だけど、八乙女が主演のドラマだってそりゃあ滅茶苦茶良かったけど、今度狗丸とタコパしようって話も、大和さんと行きたいけど! オレたち何もなし?
ぽわっと熱くなる頬を擦って、とぼとぼ自分の部屋に戻る。漏れた溜息があっつい。
(期待、してんじゃん……)
バカみたいじゃん。こんなに期待してんのに、期待してないふりして。
ゴミをまとめたビニール袋をとりあえず廊下に置いたまま、自分の部屋のドアを開けて真っ暗な部屋に入る。のろのろとベッドに倒れて、それから——瞼の裏で、大和さんとのキスを思い出す。
(気持ち良かったな……)
女の人と、どんな風にするんだろう……
クッション抱えて、うつ伏せた腹の下に敷いた。ちょっとだけ熱くなってる下半身に手を伸ばす。
キスでとろかして胸揉んで吸って? 下も触ってやんのかな。大和さんのちんこでかかったから、やっぱあれ入れられたら気持ち良いもんなのかな。女の子の気持ち良さは、オレにはわかんねぇけど——そんなことをぐちゃぐちゃ考えて掻き混ぜて、パンツの中で動く手が速くなる。
やだなぁ。人がヤってんの想像して勝手に興奮して、最悪だろ、こんなの……そう思うのに、瞼の裏の妄想は止まらないし、大和さんは満足そうだし、目を閉じてたら涙が滲んできた。女の人にズコバコしてたら、そりゃあ気持ち良いだろうけど、その代わりがオレなんてお粗末なことするよな、あんた。笑っちまうよ。
(大和さんのバカ)
大和さんなんて嫌いだ。大嫌い。
クッションを腹筋で押し付けて、しごくだけじゃ満足できなくて、ベッドにずり寄せた。
(あんたのせいで、オレ、こんなんなってんのに)
ぐずぐず言い出した鼻を啜る。多分、今酷い顔してる。シーツに涙が染み込んでいくのがわかる。なのに、呼吸は速くなってはぁはぁ止まらなくて、気持ち良い。イきたいイけない、もどかしい。
(やまとさん……やまとさん……)
妄想の中の大和さんが、困ったみたいに笑った。
「泣くなよ、ミツ」
それがあんまりにも優しい声だったから、ふにゃって溶ける。全部全部、妄想なのに。
「ッ……あ」
途端にイッちゃったもんだから、オレははぁはぁ息を乱しながら仰向けになる。
最悪だ、シーツもパンツも汚した気がする。酔っ払ってオナニーなんかするもんじゃない。
落ち着いてきた呼吸を止めて、ゆっくりと瞬きをした。
(今、乗っかられる妄想してた……?)
どこ行っちゃったんだよ、大和さんに抱かれてた女。目を閉じた。溜め息を吐く。
どっかいっちゃえ。
「いや、だから……」
——なんでオレが抱かれてんだよ?
がばりと起き上がって、ティッシュを山ほど抜き取った。
その翌日だって、大和さんはケロッとした顔してて、オレだけ二日酔いのせいか、不本意にオナったせいか滅茶苦茶に具合が悪くて、すごくムカついた。
ムカついたからって何してもいいわけじゃない。それはわかるし、オレもいつも通り……ってわけにはいかないから、恨めしく見上げるくらい。くっそ、背高いな……じっと見てると、じっと見つめ返してくる。なんの時間だ、これ?
「なんだよ、可愛い顔して」
そういうとこだよ!
「可愛くねぇだろ。普通だよ……」
そんなことしてたら、ヘアバンドした環が洗面所に割り込んできて「みっきー、朝でも可愛いもんなー」って言うだけ言って顔洗ってた。
「ほらな」
大和さんが、屈んで顔洗ってる環の上から、すっと手を伸ばしてくる。目尻を親指で拭われて、オレは目を閉じた。
「……目、腫れてる。どうした?」
多分これは「なんで泣いた?」の意味だと思う。
この人、目敏いから、オレはしまったと思うんだけど……いや、あんたのせいだよ……
「昨日、大和さんに泣かされた」
「えー? そんなことしたっけ?」
「したした。覚えてねぇの? ひでぇなぁ、あんた」
その内、環が顔を上げて、触ってた手が離れていく。オレの出まかせだと思ってる大和さんが、環の陰で困ったみたいに笑ってた。
(困ってるの、オレなんだけど)
先に始めたのあの人で、オレは不可抗力だったじゃん。なのに、なのにさぁ、オレばっかり。
息抜きに別の人と飲みに行ったって大和さんのこと考えて、バカじゃんオレ。バカみたいじゃん。
「三月くん、今日もトークのテンポ良かったよ。こっちも元気もらっちゃうな……」
「あはは! そう言ってもらえると、すげぇ嬉しいです!」
仕事に支障は出ねぇけど、ずっともやもやしてて、けど、知り合いのスタッフさんにこんなこと話すわけにはいかないし……
持ってたグラスが汗をかくのをぼんやり見てる。その間、ぐらぐら揺れる頭の隅で、あ、良いこと思いついた、なんて思った。
全然良いことじゃないんだけどさ。遠い理性がそう言ってた。
「やぁまとさーん」
だから、寝てるとこ悪ぃけど話しにきたのに、やまとさんはねてるんだよなぁ……。
いろいろかんがえたんだよ、オレ。どうして、オレあいてにさ? エロいことすんの? やまとさんに舐められたむねもくちも寂しいまんまで——だめかも。さみしいかも、オレが。
すやすやねてるやまとさんの布団をがばってして、それからのんきなまたぐらに頭のせた。
「テメェが、最初にヌきだしたからぁ……オレ、こまってんだぞ……」
ぐずぐずした気持ちに目を閉じる。
(……ここ、やまとさんのにおいがする)
オレ、気付いちゃったんだよね。
やまとさんが手だしてこねぇならさ、オレが、あんたの好きな「夜這い」? しちゃえばいいじゃん?
【 このまんまじゃ終われない 】
ビールなら何杯だっていけるでしょ
——酩酊につき、役者交代——
ミツとキスした。キス以外もした。酔っ払った悪ふざけで済ませたらどんなに良いか……そんな気持ちだったから、まさかエスカレートするなんて思ってなかった。それまでは、覚えてるも覚えてないもないと思っていたのに。
ただ、ミツと夢中でキスした。その時に、あ、やばいかもって思ったんだ。
あ、やばいかもこれ、クセになる。
だから俺は、もう下手なことしないって決めたわけで、なのに、なんで……
(なんで、ミツの頭が俺の金玉の上にあるかなぁぁぁぁぁぁ)
違和感を感じて起き上がったら、布団は剥がされてるわ、ミツは股の間に埋まってるわ、俺はちょっとしたパニック状態だった。
金玉枕しにきたの? 何、お前さん今日飲みに行ってたはずだろ? なんで俺の股に顔突っ込んでんの? やめなさい、はしたないから!
「んはははは」
怒れば良いのか恥じればいいのか笑えばいいのか、混乱してる俺に向かって、ミツがヘラヘラした顔を上げる。
股間を刺激しないで欲しい。勃っちゃうから。
「ミツ、何してんの……」
「やまとさんのちんこ、やまとさんのにおいする〜」
そりゃあ、大和さんの大和さんだからね。他の人のにおいしたらびっくりだろうがよ。
そうじゃなくて。
「ミツ……何、酔っ払ってないで部屋戻りなさい……」
「やだ」
「ヤダじゃないよ。もう遅い時間だろ」
「やだぁ!」
でっかい声を上げるミツの口を慌てて手で塞ぐ。そのついでに、股間から顔を離させた。頭を抱えて引っ張り上げる。
「静かにしろ! 何時だと思ってんだよ!」
「だってぇ……」
口を押さえてる俺の指をちろちろ舐めて、それから甘噛みしてるミツ。駄目だ、完全に酔っ払ってやがる。意識も危うそう……
ちろちろはむはむされると、くすぐったいし股間に来ます。やめなさい。
「ミツ、やめて……手、ベタベタになるから……」
「ん?」
小首を傾げて俺の胡座の上に座ってるミツは、どう見ても可愛い。その可愛い生き物が、するするっと首に抱き付いてきた。甘噛みよりはいいかと思って好きにさせてると、耳の裏でちうぅと音がする。おい、痕付けないでね……
「み、ミツ……部屋戻って」
「ヤダ」
「ヤダじゃない」
「ヤダー……オレ、大和さんに、夜這いすんだもん」
「よっ、よばい……?」
え? これ今夜這いされてんの俺? 耳の後ろちゅうちゅう舐められてるけど、これ夜這いなの?
「やまとさぁん、エロいことして、しよーぜ? な?」
もう何言ってるかわからないけど、何やらエロいことをしに来たらしい。
俺は完全に齧りに来たもんだと思っていた。いや、それなら人の金玉を枕にしてないで、もっと効率的なことがあるだろう。例えば寝起きフェラとか——と思いかけて、いや、そうじゃなくて!
「み、ミツ……! あのなぁ、俺もう」
ぐにゃ、ぺたんと抱き付いてくるミツは、もう耳しゃぶるのも保たなかったらしい。どんだけ飲んだんだか……と思いながらベッドに下ろす。
仰向けになったミツが、よだれ垂らしながら寝こけていた。
「ガキが夜這いなんて、一億年早いんだっつーの……」
にしても、夜這い。夜這いね。良いね、夜這い。蕩けて寝てるミツが俺のベッドで……って思うと、なかなか——
「ミツ……」
つん、と頬を撫でる。
「ミツ……?」
完全に寝てるミツ。息してんのかなと思ってそっと指先で唇開かせてみる。はふ、と漏れた息に思わず固唾を飲んだ。
ミツに舐められてた耳の裏が、じわりと熱くなる。指でなぞると、まぁベタベタしてる。何してくれてんだ、この七五三は。
だから、多少は、さ? 多少は、俺も美味しい思いしても、良くないか?
ミツの頭に擦られて、ちょっと敏感になってる股間に手をやる。
仰向けになって寝てるミツは、健全な腹筋覗かせてまぁ……腹出して寝んな、ちびっこめ。
俺は、オーバーサイズのそのシャツを捲り上げて、露わになった胸筋の筋に息を飲む。
吸ってんだよな俺、ミツの胸。
酔ってふざけて吸わせてくれるもんか、普通? 程よく筋肉の乗ったスレンダーな体をじろじろと見下ろしてる内、色付いてる乳首が目に毒になってきて、暫しの逡巡。シャツを捲っている手をそのままにして、俺は頭をもたげてるペニスを上下に扱く。パジャマのゴムヒモの中から現れたサイズに思わず眉を寄せる。
んー、夜這いとか言われちゃうとなぁ。
健やかに上下するミツの胸と腹を見下ろしながら、しこしこと劣情を育てていくのがなかなか——ハンザイかな、これ。睡姦になる? セーフ? いや、襲ってきたのこいつだしな。正当防衛だ、せいとうぼーえー……ちんこの先擦ってぼんやりしてきた頭の中で、そんなことを考えた。
それにしても、傷もなくて滑らかな肌理、でも女の子の肌じゃないんだよな。
もち、とした腹筋を指でなぞって、そのままふっくらしてる胸を手のひらで覆う。筋肉って、力入れてないと柔いからふわっとする。手触りが程よい。かわいい俺のAカップ……って言ったら慌てた顔してたな。良いじゃんAカップでも。俺には丁度いいです。そんな風にミツの胸を揉みながら扱いてると、もっと触りたくなる。
これがダメだっつってんのに。しかもシラフだぞ。どうすんの。
どうもせずに、やわい刺激で立ち上がって膨らんできたミツの乳首を軽く摘む。ぴくんと反応したミツが、口をもごもごさせながら身じろぎした。かわいくて、乳首をくにくにいじめてやる。片方だけだと可哀想だから、テメェの先走りで湿ったもう一個の手で、ミツのもう一つのぽっちを捏ねる。
「や、らぁ……」
はっは、と息を乱すミツは起きそうで起きない。やらぁじゃない。エロ漫画みたいな声出してかわいいな。
「やだ……?」
「やぁ……っ」
すん、くぅとまた寝息に変わる。ちょっと安心して、ちょっと面白くない。
俺はいよいよ自分のズボンとパンツをずり下げて、飛び出してる俺の俺をミツの腹筋に擦り付けた。胸をしつこーくいじってるもんだから、ミツの方もチノパンのファスナーが盛り上がってる。
胸まで出させたまま、俺は体を引いて、苦しそうなミツのチノパンを寛げた。ホック外してファスナー下ろせば、パンツの布地押し上げて、ミツのちんこが立ってる。かわいいサイズ感に、ついその頭をつついて、手全体で覆って撫でてやった。ちんこがぴくぴくって震えてる。
俺はミツのパンツを引っ張って、伸び伸びと飛び出してきたそいつに、上から自分のペニスを押し付ける。ベッドに手をついてずりずり擦ると、やばいなこれ。
まぁ、でも、先に夜這いしたのこいつだしな。
ずっとこれ言い訳にしてるけど、起きたらやばいか。どうしよう。だから、それって睡姦じゃないのか?
ぐりぐりとデカくなったペニス同士が擦り合わさって——足りねぇな。刺激が足りない。
「ん……駄目かも……イけねぇかも……」
ミツの口元に顔近付けて、ほとんど体全体擦り合わせてる。ミツの匂いがする。あと酒……こいつ焼酎飲んできた? 甘くて強い匂いがする。味を確かめたくて、ちょっと唇舐めた。
そしたら、耳にうるさい自分の息が一瞬遠くなって、ミツの気だるそうな目が俺を見上げてる。橙が蕩けて美味そうなんて思ってる間に、首の後ろだけがスッと我に返った。
(起きてんじゃん……)
俺は、誤魔化すみたいにもう一回ミツにキスをする。「ゆるして」の意味。
ミツは、相変わらずぼやっとした顔をしながら、「ちんこ痛い……」と呟いた。まぁ、俺がさっきから潰してるので……
すりすりぐりぐりしてる間に、ミツが太腿を俺の腰に絡ませる。あ、この子まだ酔ってますね。
「やまとさん……痛い……」
勝手にゆすゆす腰振りながら、ミツがとろんとした表情で見上げてくる。
相変わらず上半身すり合わせながら、どこがお互いの境目かわからなくなってきた。ベッドがギシギシ音を立ててる。ごめんなベッド。今、お前さんの負担を考える余裕はないんだ。
「ミツ、一旦出す……?」
「んー……」
どろどろのぺとぺと。額に汗かいてるミツの前髪が綺麗に分かれてる。こうなるとイチと似てるなって思いながら、ベッドで別の奴のこと考えちゃ駄目だよなぁ。でも、そう、大人っぽいよ。お前さんも。
「へへ……」
「なに」
ぐりぐり揺すられながら、ミツが低い声を出した。
「前髪、イチみたい」
そう言って、分かれてる前髪を指で流す。のそりと目を閉じたミツが口を尖らせた。
「オレ、三月なんだけど……」
「知ってるー」
「三月なのに……」
あー、挿れたいな。男って、ケツの穴使うんだっけ。一杯挿れたい。犯したい。でも考えるだけ。このままヤッたら、俺たち本当に「本当」にしちゃう。
「……三月?」
でもこの一瞬は、紛れもない本当なのかな。
「三月……」
そう呼んだら、ミツがでっけぇ目をまんまるにして、堪らなそうに声を漏らした。
「やまと、さん……」
お互い、腹の間で擦れて膨らんでる欲を手で覆って、滅茶苦茶にこする。
ミツは俺のこと見てて、俺はミツのこと見てて、ベッド壊れそう。壊しちゃおっか。壊れちゃおっか、二人で。
(酒も飲んでないのに、俺)
ぐちゃぐちゃの思考回路の中、その一点だけ笑えてくる。なぁ、俺シラフだよミツ。正気だったのに。
(正気でお前さんのこと、ヤりたいんだって)
覆い被さったまま、ミツのこと片腕で抱き締めた。ミツもミツで、一生懸命キスしてくる。塞がれた口から息が吸えなくて、慌てて鼻で息を吸った。
(好きの向こう側だよな、もうそんなの)
二人で隙間埋めるみたいにくっついてた、なんでもない夜のちょっと悪いお遊び。
お遊びで済んでないけどね。
飛ばしたザーメンで汚れた手を見て、俺たちは——正気に戻れんのかな?
「ミツ……?」
はぁはぁと息を乱す。頭の中にどんより押し寄せてくる虚脱感とか諦めとか、その諸々で体を離した。
ぐったりと仰向けになってるミツの汚れた体を見て、嫌悪感で一杯になる。
なのに、顔を腕で覆ったミツの表情の隙間、蕩けた瞳がさ、物欲しげに呟いた。
「もっと、しよ」
もっと、もっとか? この先があるとしたらそれってさ、もう突っ込んじゃうよ。いいの?
俺はパジャマのボタンを外して、さっさと脱ぎ捨てる。
角部屋で良かったなぁと思いながら、ぐったりしてるミツのズボンを下ろした。
ぬるついてる股の間に手を入れて、硬い尻の間を撫でる。ミツがぽやんと目を閉じた。
「入るかな……」
「今日はむりかも……」
そうだよなぁ。ケツって慣らさないと入らないって見たことある。
のっそりとミツが脚を上げて、「だからぁ」と囁くように言った。ちょっと声擦れててエロいな。
「素股でいい……?」
ケツ持ち上げて、股間の隙間を見せつけてくる。なんだこれえっろいなーと思っている間に、俺はミツに元気よく覆い被さっていた。
ミツの太腿にペニス挟んで前後に扱いてもらう。その間で、ミツの手がペニスの先端をよしよししてる。何コレ。
「出したのにもう勃ってる……大和さん溜まってた?」
「この間、ミツと抜いたばっかじゃん」
「そうだなぁ」
覚えてんの、と小さく小さく呟いたミツに、こっくんと頷く。俺がいつ忘れたって言いましたか。
「オレ、これ忘れちまうかも……」
「そしたら、思い出させてやるよ」
「うっは、エロいセリフ!」
ふひゃひゃと笑うミツはまだ俄然酔ってるらしい。
「……キスしたのも、覚えてる……?」
俺のちんこを股で扱きながら、くにくに撫でながら、ミツが不安そうに眉を寄せる。
「覚えてるよ」
そう言えば、ほうって安心したみたいに、ミツが——かわいい。
「キスいっぱいして」
「ミツ、好き?」
「好き」
「キスが?」
ふるふる、と首を振る。ベッドは相変わらずぎしぎし鳴いてて、素股でこの調子じゃ、挿れたらどうなっちゃうんだろう。
「大和さんとすんの」
好き、って言われても、ミツの両脚抱えてたらキスできなくて、えーってなる。今すぐ、今すぐしたいのに、今すぐ滅茶苦茶にエロいキスしてやりたいのに。
「でも今、ちんこ、キスしてるみたい。これもすき……」
そう言われちゃもう続けるしかないから。本当はミツの下の口と俺のちんこでチューしたいなんておっさん染みた下ネタ吐きそうな口を噤んで、目一杯キメ顔で頷くに止めた。
あ、ダメだ。キメ顔保たねぇ。何、この、何この可愛いの! かわいいの才能があり過ぎる。ついでに、酔ってて何言ってるかわかんねぇ!
ミツの股間に挟まってる俺のペニスと、また勃ち上がってるミツのちんこの先端をくにくにいじって、自称キスさせてるミツの顔が真っ赤で真剣で、俺は腰の動きが止まらない。
「み、ミツ、俺、そろそろ、やばい……イッちゃ……イッていい……?」
「んー、いいよ……」
股で締められて手でカリ首きゅうっと握られて、ついイッちゃった。びゅっと飛び出した精液が、ミツの顔まで飛ぶ。
「わ」
わ、だって……かわいい……頭ではそう思うのに、二発目出しちゃった罪悪感と、ぴくぴく汁垂れ流してるミツのちんこを置いてった罪悪感で頭が痛い。
頭が痛いのに、ですよ。
ミツは自分のちんこをゆるゆる扱いて精液絞り出すと、それを指で遊んで、ぽやっとした顔で言った。
「やまとさん、もいっかい」
うへぇと仰け反り、腕を突いて逃げようとする俺に上から抱き付いて、ミツは腹に腰を擦り付けてくる。
「ちょっ、み、ミツ……?」
「もう一回抜いて……」
俺はもしかして、とんでもないモンスターに火を付けてしまったんじゃないか……? くちゃくちゃといじられる俺のペニスは、もう一回くらいならいけますと頭を上げる。
「そ、そんなに、したいの……」
「したい。しよ」
なら、そんなに欲しがられたら仕方ないよな。替えのシーツ、用意あったかな。ザーメン飛び散ってるのを見ながらうっすら思う。
膝を立てて俺に跨ってるミツの胸が目の前にあるもんだから、ちろりと舌を伸ばして、完全に立ってる乳首を吸った。これ落ち着くんだよな。
むちゃむちゃ吸ってると、ミツが腰をしならせて体重掛けてくる。
「きもちい?」
舌を出しながら見上げれば、ミツが涙目潤ませて、こくんと頷いた。良かった。
吸ったって何も出てこない乳首をぺろぺろちゅうちゅうしていると髪の間にキスされる。
口を開いて、胸全体をねぶる。歯の隙間に乳首を挟んで軽く引っ張ると、ミツがぴょこんと身悶えした。
「や、いたい……」
「痛くないよ、きもちいいでしょ」
「きもちくない……」
本当に何も出ないのかな。揉んででかくするしかないのかな。
「いたきもちいいだろ」
そう言って、人差し指と親指で胸全体を摘む。ぴんと主張する乳首を舐めると、ミツがきゅっと息を止めた。腰が揺れてる。
揺れてる腰を押さえて、また俺のペニスと擦る。扱いてるだけで三回目ってやばくねぇ? 中坊かよ。
「もっと気持ち良くして……」
はい、仰せのままに……
もしかしてミツって絶倫なのか? こんなベビーフェイスの下に絶倫隠してたのか? やばいムラムラする。ムラムラするとちんこは勃つわけで、俺は欲に塗れてぐしゃぐしゃになってるベビーフェイスの唇に自分の口を当てた。ミツがうっすらと唇を開いてくれるものだから、そこに舌を捩じ込んで、更にこじ開ける。
本当はミツの腹の中を犯したいけど、我慢できなくて口の中をぐちゃぐちゃに——ああフェラさせたい。代わりに俺の舌しゃぶって。
だらっと糸が伝ったミツの口を下から舐めて、噛み付くみたいにキスを繰り返す。
満足そうに笑ってる絶倫は、最後はキスだけでもイっちゃって、ようやくそこで電源が切れたらしい。
残された俺は……いや、どうすんだこれ……どうするんだ、この関係……?
【 お、終わらないよな……?! 】
ビールもほどほどにしないとね
目が覚めたら、なんにも覚えてなかった。
本っ当に何も覚えてなかったもんだから、起きるなり土下座した大和さんがなんで土下座したのかわからなかったし、何故かオレも土下座した。
ベッドの上に土下座する男二人。なんだこれ……と思って顔を上げる。
大和さんの部屋まで入ったのは覚えてる。でもなんか、乗っかって、うっ……そこから覚えてないような、覚えてるような……頭を掠めた夜這いという言葉を直視しないように、オレは一度目を閉じた。
「……その、なんだ。ガビガビになってないか……ケツの間とか……」
……それって、つまり、そういうこと……?
オレは、正座した膝の上に置いた拳をギュッと握る。ちょっと震えそう。マジで、オレ、大和さんとヤっちゃったのかな……。
「その、拭いたんだけど、腹とか汚しちまったから……あんまり奥まで触るのもなって……」
土下座スタイルのまま呻いてる大和さんを見下ろして、オレの頭はぐるぐるぐる……うーん、目が回ってくる。
「大和さん、あ、あのさ……ごめん、覚えてないんだけど……」
「う、うん……」
「覚えてないんだけど、ヤっちゃったのかな……その、あー……アナルセックス……?」
と聞いたら、土下座してた大和さんががばっと起き上がった。
「いや、それはしてない」
「あ、そ、そう!」
良かった、意識がない内に処女喪失はしてないらしい! させてないらしい!
「じゃあオーラル……?」
「それもしてない」
……あれ、逆に何した?
「あれ、何したの……」
「ちんこ擦った」
それ、最初にしてるな?
「あとは?」
「ミ……ミツの胸いっぱいいじりました……」
照れながら言いにくそうに言ってるけど、あんた散々吸ってるからな。今更だぞそれ。
「……あとは……?」
「チューしたかな……」
それも、したよ。してないって言い張ったけど。してるしてる……あれ、じゃあ、何もかも、もうしたやつじゃないか?
「土下座なんてされるから、他になんかしたのかと思った」
「お前さん、貞操観念ガバガバ過ぎるぞ……」
まぁ確かに、ちょっと乳首がむず痒いし、ちんこは痛いけど、でももうしてるしな……なんて口を尖らせる。
確かに貞操観念の話で言えば、今はガバガバな話をしてるかもしれない。でも貫通されたわけじゃないし……
能天気な顔をしてたら、大和さんがずいと顔を近付けてきた。ちょっと寝不足気味な大和さんの目の下にクマを見つけて、オレは首を傾げる。すごい悩んでくれたのかなぁ。
「挿れてないけど、素股してくれた。ミツが」
「ん?」
すまた……と思って、太腿の間に自分の手のひらを挟んだ。
「……セックスしてるみたいだった……」
耳元でぼそって言った大和さんの声が頭の中を揺らす。ぐわんぐわーんってなる。
「俺のちんこよしよししてたの、覚えてる?」
「んんん?」
なんだそれ?
時間差で、目の前が真っ赤に……顔が熱くなって、えって爆発しそうになった。大和さんが呆れた顔してる。
「……他の人にやんないでね……」
「あったり前だろ!」
慌ててそう言えば、大和さんがびっくりしたような顔をした。
「当たり前か……?」
「誰にでもかんでもするかよ、そんな変態みたいなこと!」
「変態……」
大和さんのちんこ、撫でてたのオレ?
大和さんの、挟んだの、オレ?
えって、脚の間が熱くなる。ちんこ、勃ちそう、びっくりして……だって、挟んだって、ほぼそれ、そういうことだろ……。
「あ、あんたも何素直にされてんだよ……シラフだろ……」
「そこなんだよなぁ……」
頭を押さえて唸ってる大和さん。
そんな格好されたもんだから、俺はもしかして嫌だったかな? なんて不安になった。
「シラフなのに、ミツの尻に挿れたいって思っちまって……」
あっ、好き! じゃない、間違えた!
落ち着け、オレ。
「でも、ミツが夜這いしてくれたの嬉しくって……お前さんは俺の金玉枕にして埋もれてただけだけど……」
「うっわ、最悪……」
酔っ払いのオレ、最悪……と思って声に出したら、大和さんが泣きそうな顔して「お兄さんは不可抗力だったんだよ!」と声を上げた。
いや、ごめん。人の金玉を枕にしたオレが最悪って話……
「枕にするよりもっとすることあるだろと思ったけどさ」
「思ったんだ……」
まぁ、男なら……とぽりぽり頭を掻く大和さん。なんだ今更、舐めてやろうか。
そこまで考えて、確かにオレの貞操観念ちょっとガバガバになってるかもしれない。ちょっとゾッとした。
でも、それ……大和さんのせいだぜ?
「まぁ、でも……俺も調子に乗ったから、反省した……」
その結果が、今のお互い正座して向き合ってる状態。
「整理したいんだけどさぁ……」
「うん」
「大和さんって、オレのこと好きなの? それとも体だけ?」
そこまで聞くと、大和さんがばっと顔を上げた。
一応、だよ。一応さ、オレらは職業柄そうそう女の子に触れないわけで、でも溜まるもんは溜まるし、鬱憤だってあるだろうし、そこに、丁度問題にならないだろう体があったら——まぁ、そんな人間だとは思わないけど、でも、手を出してみたくなる気持ちもあるだろうとは思う。
——じゃあ、オレは?
大和さん曰く、ガバガバなオレの貞操観念だけど、それは相手が大和さんだからだ。大和さんだからガバガバでもいいかも、なんて思っちまうし、大和さんだったらちんこ舐めてやったって良いかも、なんて思っただけで、それって、それってだよ?
上目遣いに大和さんの顔を覗き込む。
大和さんが、言いにくそうに口を開いた。
「そうやって聞かれると、うまく答えが出てこないけど……体目当てとか、じゃ、ない……」
「お、おう。そっか」
それって、オレは大和さんのこと好きだったりするんだけど……そっぽ向いてる大和さんは、違うのかな……?
(違うのかもなぁ……)
ああ、どうしよう、ちょっとだけズキズキする。胸が。
昨日から着たままのシャツをぎゅうと握る。確かになんかべたっとするかも……
「ミツの方こそ、なんで夜這いとかさ……してきたの。酔っ払ってたから……?」
上目遣いに逆に聞かれる。
あ、不安そうな顔してる。オレはさっきと別の意味で胸がズキズキする。ズキズキっていうか、キュンみたいなやつ。
大和さんの、この不安な時に探り探り確かめようとしてくる顔、ダメなんだよな。ずりぃって思っちゃう。なんかが擽られる。
「実行したのは酔っ払ってたからだけど、違うよ」
「理由、聞いてもいいやつ……?」
「……聞きたい?」
「聞きたい……」
キュンキュン、しちゃうよなぁ。
いや、おかしいんだけど、ここでキュンキュンするの……でも、こう、なんつーかさ? 俺が嫌がること言わないで、って懇願みたいなもんも込めて聞いてくる表情がさ、可愛くないって言ったら嘘になるんだよ。
「大和さん、嫌がるかもしれないけど、それでも聞きたい?」
「うっ……き、聞く……いや、ちょっと待った」
眼鏡を上げて、それから一呼吸。
「よし、頼むわ」
なんなんだよ。思わず笑いそうになる。
だけどオレはちょっとだけもじもじして、膝の先を擦り合わせた。
「次酔ったら、大和さん何してくるかなって、ちょっと期待してた」
「えっ」
「けど、何もしてこないからさ……? ちょっとむしゃくしゃして……オレは大和さんのこと想像しながら……」
オナったの、言っても良いかなぁ……ちら、って見上げた。間抜けな顔して固まってる大和さんに、やっぱりもじもじする。これは言うのやめとこう……
「何」
「ヤケ酒してたのにさ」
よし、誤魔化した!
そう言ったら、大和さんは、眼鏡ごと顔を手で覆って固まってた。
「キスしたの、嫌なのかと思ってた……ミツ、ずっと泣きそうな顔してたから」
「あれは……」
あれはよー……大和さんが何人の女としてきたのかなって思って、それで、だから、つまり、嫉妬で、嫉妬……?
ぽやんと頬が熱くなる。
ていうか覚えてんのかよこのおっさん。覚えててあんなに?
「大和さんが、キス上手いから……むしゃくしゃし」
口に口が当たって、凹凸、埋めるみたいに。
角度が変わって、ねちゃって、舌で歯をノックされた。ふわっと隙間を開けたら、みるみる内に大和さんのべろが入ってきて——ちょっと待て! これ、誤魔化されてる。誤魔化されてる絶対!
「ふぁ、ひゃ……やま、んんん」
齧り付いて吸い付いて、搾り取るみたいなキスを繰り返されて、頭がぽやーっとしてくる。だめだ、だめだオレ! 負けないでくれ〜〜〜!
「は、ふ……や、やま、とさ……待っ……」
待て! と、大和さんの胸板を押し除けた。
唾液まみれの口を拭って首を振る。
「聞いてない! オレ、まだ……! あんたの口から……!」
「悪い、我慢できなくて……」
「ずるいだろそれ! 上手いしムカつくし、ずるい!」
言わなきゃダメェ? って顔だ! 駄目に決まってんだろバカ!
「ミツにエロいことしたい……そういう気持ちで触ってた……」
「あんたの方こそ、誰にでもかよ……?」
「ミツがかわいくって……」
興奮する……。小さくそう言った大和さんに、オレは「もう一声!」という気持ちになる。
もう一声……もう一声欲しい。くれたらこのままエッチしちゃいそう。まぁ、何せオレたち今不完全燃焼なので。
「お兄さんねぇ、ミツのこと……」
もじもじ、くね……くねくねしない!
「ミツが、ずっとぉ」
「本気さが感じられない。マイナス50点。ちなみに、あと50点で一生の信用問題に関わる」
「うっわ、きびし……」
「早く」
早く聞かせて。なぁ、早く。
オレは大和さんの膝に手を突いて、ずいっと大和さんの顔に顔を近付ける。自分でキスする時は気にしないのに、顔を引く大和さんが目を泳がせた。
早く聞かせて。聞きたい。
もういいよ、体が好きだっていい。繋がれるだけの気持ちが欲しい。大和さんと繋がりたい。
オレ、やっぱりまだ酔ってるかな……繋がりたくて仕方ない、なんて。
「す、すき」
「何が?」
「ミツのこと、好き」
「だよな。そうだと思った」
えっ、て悲鳴を上げた大和さんの肩を押す。よろよろ倒れやがって、坊ちゃんめ。
オレはさっさと(ベタベタしてる)シャツを脱ぎ捨てて、大和さんのパジャマのズボンを下ろす。
「なぁっ! おい!」
「枕だけじゃ、流石に色気がねぇじゃん」
「違う違う違う! してる! 夜中にめちゃくちゃ」
「してないこと、しようよ」
いっこくらいさぁ。
朝勃ちの名残のある大和さんのちんこをパンツから引っ張り出して、そのまま——寝起きの口ってもちゃっとしてるけど、まぁいっか。
「お、お前さん、貞操観念……」
気まずそうに唾飲み込んだ大和さん。
でっけーなぁと思って唾飲み込んだオレ。
期待に若干立ち上がってる大和さんのちんこの先っぽを口に入れて舌の上滑らして、喉……は苦しい……歯が当たらないようにズルズル舐める。あっつい。あと多分、これ精液の匂い、かも。昨日いっぱい抜いたんだな……記憶ねぇけど。
ちょっと悔しい。
口一杯に入れるのは苦しくて、一旦れって吐き出す。裏筋舐めてやるとびくびくってして……
「きもちい……?」
「……俺は、お前のことが心配だよ……」
顔面押さえてる大和さん。
「頭痛い……」
「二日酔いかー?」
「飲んでねぇよ……興奮しすぎて頭痛い……やだな、本当……」
メンバーだぞ……って、今更理性あるみたいに言うけど、最初に始めたのあんただからな。オレはやだって言ったよ、一応。
一応な、って思いながら、大和さんの先っぽをあって口に入れる。出したり入れたりしゃぶってたら「焦らしすぎ」って膝で小突かれた。根元こすこすしてやる。硬くなってでかくなって、男って単純だな〜と思いつつ、自分の股の間が熱くなってるのも感じてて、まぁなんでシャツ脱いだかっていうとだよ。
「大和さん挿れていーよ」
「えっ」
「しようよ、セックス」
「お、お前さん、酒抜けてないんじゃねぇの? 急に何!」
「挿れてみて。試したい」
「いや、ゴムもローションもねぇし、準備してねぇって……!」
「……アナルセックス知ってんの?」
ちらって覗き込んだら、大和さんは気まずそうに首を百八十度くらい回した。人の限界まで顔を逸らすな。
俺はやまとさんの完勃ちちんこをしこしこ扱きながら、「ふーん」て笑う。
「する気だったんだ?」
「しっ、しちゃうから……しちゃうかもだから、触らないようにしてたのに……」
可愛いなこの人、なんて思うから、貞操観念云々って言われるんだろうな。大和さんだけだよ。
手の動きを速めると、顔を背けてた大和さんがギリギリ振り返った。
「喋りながらやめろよ……」
俺は、敏感になってる大和さんのちんこに、ふーっと息を吹きかけた。
「んっ……」
手の中で脈打ってる。イきたいよなぁ。指の先でちんこの穴ぐりぐりくすぐってやると、大和さんはへなへなって倒れ込んだ。
「イきたい?」
「なっ……も、待ってミツ……、くっ」
口押さえて呻いて我慢してる大和さん見てたら、ちんこよしよししてた昨日のオレの気持ちちょっとわかるぜ……
カリ首締めたり緩めたりしながら、さきっぽにちゅってする。
「お前、マジでっ、覚えてろよ……!」
「覚えてるよ。オレもあんたももう酔っ払ってないんだから」
ぎくり、みたいな顔してる。なあなあで始めたのあんただし、オレは、ほんのちょっとだけ怒ってるよ。
「好きなら、ちゃんと正面から来いよ」
だから、キッて睨んだら、大和さんのちんこからザーメンが飛んだから、流石に……流石にタイミングわからなくて、オレは「えっ」て声が出た。
大和さんは両手で顔を隠して、ぐうの音も出ないみたいなことになってる。
「なっ、なんで……?」
「……いや、ちょっと……その」
これから、もっといじめてやろうと思ってたのに……? な、何勝手にイってんだよ!
顔に飛んだ大和さんの汁を手で拭って、ティッシュ……ティッシュちょうだい……
情けなさそうな自分のちんこ拭いながら、大和さんがティッシュの箱を寄越す。
ちょっと可哀想かも。
「……元気なくなった?」
「元気だけど、頭ぐらぐらする……今日仕事したくねぇ……」
ああ、オレはオフだけど、この人仕事だった。まぁ、結局ヤれたりはしなかったわけだ。
オレは放り投げたシャツ拾って、洗濯のこと考えてる。股がちょっと痛いのどうしよう。このまま抜いちゃおうかな。
ぼーっと耽ってる大和さんの隣で、するっとちんこ出す。
「は?」
低い声出された。ドス声ってやつだ。
「出しちまおうと思って」
「……ミツってさぁ」
うわ、大和さんのちんこ擦ってた手ですんの、ちょっと変。そう思いながらしこしこ始めたら、隣から溜息聞こえた。あんたはそこで賢者してな。
自分のだから自分の良いところ全然わかるし、さっさと抜いて終わりたいな、と思ってたら、オレの半ケツを大和さんが後ろから爪先で引っ掻いた。
「んっ」
割れ目の入り口に爪立てられて、オレは思わず尻を浮かす。そのまま、つつつ、と大和さんの長い指が尻の間挟まってきて——オレはちんこ擦る手動かしたまま。
尻の穴をぐって押された。ぴくんぴくんてなる。腰が痺れる。そのまま、体に近寄ってきたやまとさんが、後ろからオレの胸を揉み出した。
「アッ……あ、や……」
くにくにって、固くなってる乳首摘まれて、尻の間こすこす擽られて、オレは尻を大和さんに突き出したみたいになる。勝手に手の動きが早くなる。待って待ってやべぇなこれ。
腰、カクカクしてたら、尻の肉をべちって叩かれた。
「いっ……たぁ……!」
「こーら、行儀悪いぞ」
何がだよ! あんただろ! って食って掛かろうとしたらもう一回叩かれて、オレはそのまま大和さんのベッドに横たわる。その間も後ろから胸揉まれたまま、やばい出そう。むずむずする。
後ろから、ひっくい声で「あー吸いてぇ……」って聞こえて、そんなに良いなら吸えば? って思ったけど、いや、散々吸われてるこれ。駄目駄目。これ以上は腫れる……
ちょっと乳輪ぷくってしてるもん。どんだけしゃぶったんだ、こちとら男の子だっつうの。まぁ、その真ん中の乳首、ぐりぐり押されてるわけなんだけど……
「や、あっ、やまとさ、触っ」
尻をいじめてた大和さんの手が前側に回ってくる。オレの手に重なって、なんかやっぱりこの人の手でっかいな……綺麗な手してる。その綺麗な手が、まぁ、オレのちんここすこすしてんだけど……
「ミツ、一人でイけなくなっちゃったの? 悪い子だなぁ」
「イ……けるけどぉ」
丁度良いところに好きな人の手があったらさぁ……って思ったら、何がなんでも借りたいよな。
「大和さんの手、すき……」
後ろからぎゅって抱き締められた。湿ったちんこがケツに当たってんなーと思いつつ、この人のスイッチわかってきたな。息を吐く。
「あっ、イイ、や、そこ……だめぇ」
自分の声の持ち味わかってるのって、結構な武器になるもんで、甘えた声出したら大和さんの鼻息荒くなって、なぁ、あんたさ、オレのこと好きだろ……なんて思った。オレのことも、この体も好きだろ?
「大和さ……あっ、あっ……やさ、しく……んっ」
「優しくしてる、してるよ……?」
嘘つきだー、手の速度速くなってる。気抜いたらマジで出ちゃいそう。もっとして欲しい。
面白くなって、ちょっとわざとらしいくらい声出した。
「やっ、だ、あ……っ、あん、手ぇ、だめぇ」
「駄目なの……? どこ駄目?」
「だめ……っ、イッちゃ……あ、ちんこきもちい……やだ、イきたくないぃ」
もじ、と内股擦り寄せる。
「ははっ……何、ちゃんと言って。ペニス? 気持ちいい……?」
「あんっ……や、ぺにす……きもちい、よぉ……っ」
女の子みたい。そんな間も、大和さんが股の間擦ってくれるから、オレ、本当女の子になったのかも、と思って見下ろしたら、まぁちんこはあった。立派な男の子です。
「ほら、ミツ。イく時言ってよ……? イっちゃうって言ってみ?」
「や、だ、言えな、い……」
「ほーら」
ぐりぐりぐり、って皮の厚い指先でちんこの先端擦られる。あっ、これやべぇ。
「出ちゃうでちゃう、イくイくイく、イッちゃ……! っ、んん、あっ!」
AVの女優さんみたいな声出したら、大和さんに口塞がれた。あ、これはやりすぎ? 駄目かぁ、と思って舌を出す。
実際イきそうだったから、口塞がれてチューしてる間にびくびくってなって、イっちゃった。
精液でべとべとになった大和さんの手が暫くオレのちんこから手を離さなくって、お互い息整えながらぼーっとする。
暫くして、またティッシュで手拭ってた大和さんが、ベッドの、枕の横からすっとスマホ取り出して——あれ、これ前にも記憶があるぞ……またイッた顔撮られる……? と思って身構えた、ら。
『……その、なんだ。ガビガビになってないか……ケツの間とか……』
大和さんの声なんですが。それも、多分土下座始めた辺りの。
オレは、さーっと血の気が引くのを感じる。
『大和さん、あ、あのさ……ごめん、覚えてないんだけど……』
あの、オレのその後の声もばっちりなんだけど。
つまり、つまりだ。
「またなかったことにしたら申し訳ないと思って、一応レコーダーにして置いてたんだけど、さっきの……ミツの声、可愛かったからオカズにするわ」
そう言った大和さんに、オレは思わず飛び掛かった。
「そ、そんなもんすぐに消せーーー!」
まぁ、ただ、あんたのシラフの「好き」はオレも欲しかったり、するかもだよ。
スマホを掴んで離さない大和さんに馬乗りになりながら、あまりにも必死すぎて笑った。大和さんも笑ってるし。
「……好き同士だからさ、いつでも聞かせてやるし、さ……?」
そうやって耳に流し込んだら、すけべぇな顔した。人の貞操観念散々言ったけど、スケベなのあんただぞ。
大和さんは全然スマホ離さないまま、「やっぱ仕事行きたくねぇ……」と唸るみたいに呟いた。
オレは、はいはい、それでもお仕事だぞ、と大和さんの頭をなでなでしてやることしかできなかった。
【 お幸せに! 】